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第6学年向け
でんぷんのでき方 |
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ヨウ素液で着色したオブラート(デンプンでできています)を発芽過程のインゲンマメ(金時豆)の破砕液に浸し,オブラートが分解されてゆく過程を見ることができる実験方法を分かり易く解説しました。 植物は光合成産物として蓄積したデンプンを分解してエネルギー源や体を構成する他の物質の材料とするために利用しています。デンプンの分解は生物に普遍的な現象ですが,植物自身がデンプンを分解して利用していることについての理解は不十分です。そこで,ヨウ素液で着色したオブラートを葉や発芽過程のマメ類の子葉の破砕液に浸し,オブラートが分解されてゆく過程を見ることができる実験系を開発しました(本地由佳 H23年度修士論文)。附属学校の6年生に対する実践をおこなったところ,操作や理解度には問題は無く,授業で用いたワークシートでは「植物にも動物同様,でんぷんを糖に変えるはたらきがあることを知り,とても感心しました」「植物も動物も,ちがうけれど,もっている働きが同じものが多いことから考えると,とても似ているものだと改めて思った」「植物と人間のでんぷんの消化法が同じだということに,生物の基本的な仕組みはだいたい同じなのだろうかと思った」等の記述が得られました。 [撮影 金井孝之,監修 中西 史,撮影協力 丸山 望] |
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植物の水の通り道 |
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植物の枝や葉に色水を満たした細いチューブ(簡易蒸散計)をつなぐと,チューブの中を色水の末端が植物体に向かってどんどん移動する様子(最高記録15cm/分!)や,葉を除くと移動速度が急激に低下する様子を観察できます。この映像では,その実験の手順を分かり易く解説しました。今までに,この方法を用いて植物の蒸散を動的にとらえる取り組みを6年生の授業や自然体験学習会・教員研修等で行い,大変好評を得ています。小学生の感想には「チューブの中の水が減るスピードがすごく早くてびっくりした。」「植物も色々な工夫をして、生きているんだと思い、その植物の構造に感心した。」「植物を育てるとき,たまに水やりをサボっていたりしていたけれど,それは僕たちがごはんを食べさせてもらえないのと同じことだと分かり,悪いことをしたなぁと思った」等がありました。中学校や高等学校でも活用できる方法です。 [撮影 金井孝之,監修 中西 史,撮影協力 丸山 望] |
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植物の水の通り道 |
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セロリの吸水 |
独特の香りをもつセロリはセリ科の一種で,発達した葉柄(茎ではありません)が食材に利用されます。発達した維管束(道管や師管などが集まった水の通り道)をもち,色水につけると1分も経たないうちに葉柄の維管束部分が赤く染まり始めます。10分もすると葉の葉脈部分まで染まり,1時間もすると葉全体が真っ赤に染まります。葉柄や葉の色が薄いので,非常に観察しやすい材料です。[撮影 金井孝之 監修 中西 史] 注) 植物の根は本来色水の色素成分は道管内には取り込まず,水だけを取り込みます。従って道管を色水で染める際は,根や茎,または葉柄の切り口を色水につけるのが正しい実験の方法です(「根を付けたままでも道管が染まる」というのは,細かい根が切れてその切断面から色水がとりこまれていることを誤解したものです) |
生物と環境 |
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安心空間におけるカヤネズミの行動 (01:23) |
カヤネズミは本州以南に分布する小型齧歯類で体重10 g程度,体長6 cm程度の日本では一番小さなネズミです。休耕田や河川敷などの、背丈の高い草原に暮らし,ススキやオギ、ヨシなどイネ科の葉を利用して、地表から約1mの高さに直径10cmほどの小さな球形の巣を作り育児や休息に利用します。この映像では,巣の内部スペースの大きさとほぼ同じ大きさのプラスチック容器(25 mm x 65 mm x 75 mm)に巣の入り口と同じ大きさの穴(直径20 mm)を開け,ススキの直径と同じ太さの工作材(直径6 mm)を差し込み,ススキの群落の中に1 mの高さにセットしました。容器の中にアサの種子を入れておくと,カヤネズミが中で食事を始めました。動物の種類ごとに安心できる空間(安心空間)の条件は異なりますが,その条件を満たせば意外に簡単に生活の様子が観察できるようです。 [撮影 北垣憲仁] |
生物と環境 |
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カワネズミの行動 (01:52) |
カワネズミは水生適応したモグラの仲間(トガリネズミ科)で,本州,九州に分布する日本固有種です。水辺に巣を作り,水生小動物を主食とします。他のモグラの仲間と同様に目は見えませんが,水中で素早く行動し,ヤマメやイワナなどの渓流魚も捕らえることができます。水の流れを探知しながら移動し,泡だった水の落ち込み部分や急流部分に好んで潜るようです。水槽を生息域の流路において水の落ち込み部を作っておけば,カワネズミは自分から水槽(安心空間)の中に入ってきます。この映像では渓流の流れを遡ってカワネズミが水槽に入る様子と水槽の中でサカナを追跡し,噛みつき,離さないという水中での狩りの行動が観察できます。 渓流の脇に設置した水槽(安心空間)の中でカワネズミが狩りをする行動が観察できます。 [撮影 北垣憲仁] |
生物と環境 |
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餌台におけるニホンリスの行動 (01:04) |
ニホンリスは低山地から亜高山帯までの森林に生息し、樹上に木の枝や樹皮などを組み合わせた球形の巣をつくります。植物(オニグルミやマツの仲間)の種子や花,芽を主な餌としますが,キノコや昆虫なども食べます。丈夫な歯で硬い殻もかじって割ることができます。必ず両手で食べ物を持って食べます。映像は山梨県の小学校に設置した餌台に来たニホンリスの様子を撮影したものです。クルミの実を口にくわえたまま別の実を囓ろうとして困っている様子が良く分かります。 ニホンリスがオニグルミの木から果実をくわえてを運ぶ様子を撮影したものです。カメラのシャッター音に驚く姿や,一度に4つもくわえて運ぶ様子を見ることができます。小型発信器を用いた長野県林業センターの研究(技術情報 No. 92 山口)では,15 mまでの近距離に運ばれるクルミが多いようですが、中には168mも運ばれたものもあったそうです。 [撮影 北垣憲仁] |
生物と環境 |
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ヒミズとジネズミ (00:35) |
地下のトンネルの出入り口にアサの種子を播いておいたところ,ヒミズとジネズミが鉢合わせしてしまいました。左側(額が丸みを帯びている)がヒミズ,右側(顔が尖っている)がジネズミで,どちらもモグラの仲間(トガリネズミ科)です。ジネズミは自分でトンネルは掘らないため,前肢が他のモグラの仲間のように特殊化(掌部が平たく大きくなり、鋭い爪がある)していません。ヒミズは自分でもトンネルを掘りますが一般にモグラといわれる大きな仲間ほどは長大なトンネルは掘らず,手のひらは比較的小さいようです(ツメは発達しています)。モグラの仲間は肉食というイメージがありますが,ヒミズやジネズミは植物の種子もよく食べます。 [撮影 北垣憲仁] |
生物と環境 |
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安心空間におけるヒミズの行動 (01:30) |
上の映像でも登場したヒミズはいわゆるモグラに比べると小型で、長い尾をもち,地下のごく浅いところで生活しています。本州,四国,九州に分布する日本固有種で,都心を除き,都市部でも腐食層ができるような公園などでも見られることがあります。トンネルの上に重みのある板(ガラス板なら厚さ5 mm以上)を置いておくとそれに沿って新たにトンネルを掘ります。背中に重みを感じることがヒミズにとっては「安心」の条件なのでしょう。ヒミズは昼間でもほぼ一定周期(3時間程度)で行動しているため,トンネルにミミズやヒマワリの種子などを置いておくと,獲物をくわえるとそのまま素早く後退する「back with grip」というヒミズに特有の行動を観察することができます。「日見ず」という和名から,光を嫌うイメージがありますが,日陰では昼間ガラスを通して光が差し込んでいても特に影響は無いようです。 ヒミズの採餌行動をアップで撮影しました。 [撮影 北垣憲仁] |
生物と環境 |
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安心空間における野ネズミの行動 (00:23) |
アカネズミは日本固有種であり,北海道から九州までの低地から高山地帯まで広く分布します。頭胴長は80〜140 mm程度でその生息環境は森林から農耕地,河川敷と多岐にわたり,種子や昆虫などを食べ物としています。食事は穴の中や石垣のすき間など狭い空間で行うことから,アカネズミの通り道(トンネル)の上に,直径30 mmの穴を開けた板を置き,一辺の長さが150 mmのプラスチック容器をかぶせて安心空間としました。中にヒマワリの種子やクルミを置いておくと周りで人が見ていても(但し静かに)平気で食事をします。 この映像は安心空間でアカネズミ(最初の方)と野ネズミ(アカネズミの幼体かヒメネズミか)が食事をしてる様子です。 [撮影 北垣憲仁] |